有馬・城崎の古湯と味覚の旅(1)

復元された福知山城 1,300年以上も前に開湯したという有馬温泉は、日本三古湯(※)の一つに数えられ、古くから温泉保養地として発展した。とくに戦国時代に多くの武将に親しまれ、なかでも豊臣秀吉が愛したことから「太閤さんの湯殿がある」と伝えられてきた。その関西の名湯、有馬温泉から一般道路で北へ約150km、有馬と並び関西屈指の温泉地、城崎を訪ねた。
ニッポンレンタカー新大阪センター営業所よりスタートし、約30km、ナビゲーションに導かれて有馬温泉へ。宿の入室時刻まで、温泉にちなんだ社寺、史跡、遺構、源泉などをゆっくりと見て回り、夜は自慢の湯に浸る。翌日は福知山城や豊岡のコウノトリ郷公園などに立ち寄りながらののんびりドライブだ。
後半には丹後半島を一周、天橋立を経て丹波篠山の町を探索。篠山城跡を中心に、武家屋敷や商家など城下町の面影を残す町の中心部を、名物焼き栗を食べながら、短い陽に追われるように急ぎ足で歩いた。
(※)日本三古湯は、神話時代からの古い歴史がある温泉のこと。日本書紀・風土記などに登場することに基づいた三古湯は、有馬温泉の他、愛媛県・道後温泉、和歌山県・白浜温泉。

ドライブルート

ニッポンレンタカー新大阪センター営業所−(阪神高速11号池田線経由−中国自動車道)−有馬温泉−(国道176号線)−福知山市−(国道9号線経由−国道426線)−出石−豊岡市−(県道3号線)−城崎温泉−(国道178号線)−伊根−天橋立−(京都縦貫自動車道経由−由舞鶴若狭自動車道)−新大阪

全行程 約750km、今回行程 約400km

<赤いドライブルート付近のマーカーをクリックするとその項目にジャンプします>

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有馬温泉

老舗宿の渡り廊下

老舗宿の渡り廊下

神戸市にありながら山深い六甲山の北側、標高350〜500mに位置する。そのため街は坂道が多く、狭く急な場所もある。
地質的には活断層の外れにあるため、地下まで岩盤が割れ、その割れ目を通って地下深くより温泉が噴出している。泉質は塩分と鉄分を含む塩化物泉、ラジウムを含む放射能泉、炭酸を多く含む炭酸水素塩泉の3種類がある。塩化物泉は出所により異なるが、湧出時は透明で、鉄分を含むため空気に触れると褐色になる。これを「金泉(きんせん)」と呼び、それ以外の透明な温泉は「銀泉(ぎんせん)」と呼ぶ。温泉旅館によりこれらの泉質が異なるが、ある宿の主人は「金泉こそ有馬の湯だ」と胸を張っていた。どちらも立ち入り湯があり、金の湯は650円、銀の湯は550円で利用できる。

  • 銀の湯

    銀の湯

  • 外湯・金の湯

    外湯・金の湯

温泉寺

温泉寺の五輪塔。左は平清盛が寄進したとされる

温泉寺の五輪塔。左は平清盛が寄進したとされる

神代の時代に発見されたという有馬温泉が世に広く知られるようになったのは、奈良時代の僧行基上人が神亀元年(724)に温泉寺を建立し、また鎌倉時代に僧仁西が12の宿坊を建ててからといわれている。その後、さらに太閤秀吉が湯治のため有馬に度々足を運び、千利休らとともに茶会が催されたことから繁栄、一躍全国的に有名となった。そして江戸時代には湯治場として全国から多くの人々が訪れ、有馬千軒といわれるほどの賑わいを見せていた。
天正4年(1576)に全山が焼失したが、北政所が直ちに再建した。しかしその後、再び火災に遭い、天正10年(1582)に北政所により再び建てられた。その時に現在の薬師堂も建設された。本堂内の黒漆厨子は、国の重要文化財。

  • 行基菩薩像

    行基菩薩像

  • 温泉寺

    温泉寺

太閤の湯殿館

極楽寺

極楽寺

温泉寺の少し上にある極楽寺は中世より念仏道場として栄えたが、数度の火災により焼失し、現在の堂宇は天明2年(1782)に再建されたもの。だが、平成7年(1995)の阪神淡路大震災で半壊した庫裏跡の基礎部分から、豊臣秀吉が築造した「湯山御殿」の遺構が発見され、伝えられていた太閤の湯殿があったことが実証された。
遺構は茶器や瓦をはじめ、湯船庭園、岩風呂、蒸し風呂などで、これら出土品とともに遺構の上に「神戸市立太閤の湯殿館」が建設された。遺構の多くは埋め戻されたが、館内には岩風呂や蒸し風呂などが再現され、当時の天下人の優雅な湯治風景が偲ばれる。
/入館料 200円、TEL 078-904-4304

  • 復元された秀吉の湯

    復元された秀吉の湯

  • 湯山御殿庭園(復元)。石積みは当時のもの

    湯山御殿庭園(復元)。石積みは当時のもの

5つの泉源

高低差約150mあり、昔ながらの古く細い道がうねるように続く温泉街では、ほとんど駐車場もないため、徒歩の散策となる。温泉を潤す5つの泉源は、太閤の湯へと引かれていたであろう「御所泉源」「極楽泉源」と坂道を上りきった奥に「炭酸泉源」、下って「妬泉源」もう少し下った「天神泉源」がある。
さらに、神戸電鉄有馬温泉駅周辺には有馬川に架かる「太閤橋」と赤い欄干の「ねね橋」があり、一回りすると約2時間の観光コースだ。

  • ねねの橋と太閤橋の間、川は公園になっている

    ねねの橋と太閤橋の間、川は公園になっている

  • 昔ながらの路地

    昔ながらの路地

  • 太閤橋

    太閤橋

  • ねねの橋

    ねねの橋

瑞宝寺公園

明治になって廃寺になった瑞宝寺の跡地を、昭和26年(1951)に神戸市が公園として整備したが、伏見桃山城から移築した山門だけが保存修復されたもの。
秀吉も、幾度となく訪れ「いくら見ても飽きない」と言った瑞宝寺の紅葉は、別名「日暮しの庭」といわれ、紅葉の下には秀吉が囲碁をさしたという石の碁盤もある。ちょうど紅葉の見頃の時期と重なり、訪れた人々の賑やかな歓声の声が上がっていた。
「有馬山猪名の笹原風吹けばいでそよ人を忘れやはする」と小倉百人一首にも詠まれている歌碑がある。

  • 瑞宝寺公園の紅葉

    瑞宝寺公園の紅葉

  • 秀吉も愛でた瑞宝寺公園の紅葉

    秀吉も愛でた瑞宝寺公園の紅葉

  • 幹のもみじ・絵画のようだ

    幹のもみじ・絵画のようだ

  • 瑞宝寺の山門

    瑞宝寺の山門

六甲山へのロープウェイ。山頂付近は霧

六甲山へのロープウェイ。山頂付近は霧

六甲山

兵庫県南東部、神戸市の西北にかけて広がる山塊。六甲山は大小の山を含む山域全体のことで、最高峰は特に六甲最高峰と呼ばれる(標高約931m)。神戸市街から山頂エリアにはケーブルカーとバスを乗り継ぎ行くことができる。山頂エリアにはさまざまな保養施設や個人の別荘も点在し、ハイキングコースも整備されている。
一方、有馬温泉からは六甲山頂へ約12分で結ぶロープウェイがあり、山麓に広がる深い森林地帯は秋には紅葉に彩られ、空中からの紅葉見物は人気がある。今まさに紅葉の真っ盛り、色付いた見事な樹林帯を見せてくれたが、あいにくに曇り空に視界がかすんでいた。
好天に恵まれた日は山頂からの眺望は素晴らしく、西の明石海峡大橋や淡路島、東は阪神平野を一望することができる。
/六甲有馬ロープウェー 有馬温泉−六甲山頂駅往復料金 1,820円

  • ロープウェイからの紅葉

    ロープウェイからの紅葉

福知山城

丹波平定を果たした明智光秀が、丹波の拠点としてこの地に城を築いたのがはじまり。以来、戦乱の世、城主が交替する中整備が進められ、完成したのは関ヶ原の戦い時の慶長5年(1600)とわれている。
明治時代の廃城にともない、石垣と銅門(あかがねもん)番所だけが残された。昭和61年(1986)、天守閣が再建されたが、石垣は自然石をそのまま用いたもので、野面積み、乱石積みなど築城当時の面影を残している。また深さ50mの豊磐井戸は、今も海抜30mの城内に清水が湧く。これは城郭内湛水井戸としては日本一の深井戸である。福知山の丘陵に建つ城、その天守閣からは福知山市内が一望できる。天守閣内部は歴史資料館となっている。
/入館料 320円、TEL 0773-23-9564

  • 福知山への道

    福知山への道

  • 福知山城

    福知山城

  • 城門への坂道

    城門への坂道

  • 城内の井戸。海面より深く掘られている

    城内の井戸。海面より深く掘られている

  • 復元された福知山城

    復元された福知山城

コウノトリの郷公園

コウノトリの郷

コウノトリの郷

豊岡市にはコウノトリの保護増殖センターと県立コウノトリの郷公園がある。いまから50数年前までは、日本各地に生息していたコウノトリも、乱獲と田畑に蒔かれた農薬によりその数は激減。最後まで残ったコウノトリも、現在の豊岡市で絶滅。昭和30年(1955)特別天然記念物コウノトリ保護協会が発足したが、人口飼育及びふ化などは失敗。昭和46年(1971)年日本国内のコウノトリは絶滅した。その14年後にロシア(旧ソ連)から野生の幼鳥6羽を譲りうけた。平成元年(1989)ロシアから来たコウノトリのヒナが誕生、以降、毎年ふ化に成功した。
現在、約200羽のうち半分が保護センターで飼育され、20羽が公園内に、60余羽が自然界に放たれている。遠く沖縄から北海道と44道府県へ遠征してしまったものもいるが、郷公園近くの湿地や田畑、森などで見ることができる。晩秋の澄んだ青空の中、2mもの大きな翼を広げて飛ぶ様は、実に美しく心洗われるものである。
/入園無料、TEL 0796-23-5666

  • 国道沿いで見かけたコウノトリ

    国道沿いで見かけたコウノトリ

  • 自由に飛ぶコウノトリ

    自由に飛ぶコウノトリ

  • この2羽はここで巣立った鳥か、その親だという

    この2羽はここで巣立った鳥か、その親だという

  • 午後3時に餌やり。放たれたコウノトリも集まってくる

    午後3時に餌やり。放たれたコウノトリも集まってくる

  • 悠然と舞うコウノトリ

    悠然と舞うコウノトリ

城崎温泉

開湯1,300年の歴史を持つという有馬温泉に並んで関西きっての古湯。志賀直哉、島崎藤村、与謝野晶子、徳冨蘆花や有島武郎など名だたる文豪が訪れたことでも知られる名湯。街を流れる大谿川(おおたにがわ)の両岸には柳が植えられ、居並ぶ温泉宿の多くは昔ながらの風情を残す木造の造りも多い。訪れる誰もが古き温泉街情緒を味わう。
また外湯発祥の地と自負するほど、昔から宿を客間、道を廊下にたとえ湯治に訪れた人々を街全体でもてなしていた。この精神は今も失われず、人々は宿に着いたら浴衣に着替え、下駄をならして外湯に入る。7つの外湯(地蔵の湯、柳湯、一の湯、御所の湯、鴻の湯、まんだら湯、さとの湯)があり、宿泊客には宿からすべての外湯の入浴札がサービスされる。
温泉街には資料館・美術館・文芸館などとみるものも多いが、なんといっても今の季節(11月〜3月末)は、日本海の幸「かに」を食べることが目的の客が多い。城崎温泉に限らず日本海の宿は、1年間「かに貯金」をした人々が、多くは関西方面からこの日を待って来るそうだ。宿もまたこの時期は、1年も前からの予約客で賑わう。

  • 駅前広場には、かにのはさみが…

    駅前広場には、かにのはさみが…

  • 夕暮れの城崎温泉

    夕暮れの城崎温泉

  • 外湯・一の湯

    外湯・一の湯

  • 外湯・柳湯

    外湯・柳湯

  • 御所の湯

    御所の湯

  •  外湯・地蔵の湯

    外湯・地蔵の湯

魚屋さん、土産物店には、旬のかにが並ぶ

魚屋さん、土産物店には、旬のかにが並ぶ

「ずわいがに」「松葉がに」「越前がに」「間人(たいざ)がに」など水揚げ地域で呼び名が違う。各港でブランド化された「かに」だが、素人目には同じに見えても漁師は微妙に違って「うちのが一番」という。どちらにしても水揚げされたばかりの「かに」は旨いが高価なものである。たしかに1年間の貯金の価値はある。

  • ここはやはりかに料理です

    ここはやはりかに料理です

  • 絶品!かにの刺身。かに味噌を付けて食べる

    絶品!かにの刺身。かに味噌を付けて食べる

ニッポンレンタカーの車種・料金

詳しくは車種・料金一覧表をご覧ください。

兵庫県内のニッポンレンタカー営業所

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有馬温泉
有馬温泉観光協会による。イベント情報、みどころなどを紹介しているほか、条件に合った宿の検索もできる。
(海の京都)福知山観光協会
福知山市の観光スポットやおすすめ観光コース、「福知山十景」、イベント情報などを掲載している。
城崎温泉観光協会
「城崎外湯めぐり」などの観光ガイドや旅館、お店情報が見られるほか、条件に合った宿の検索もできる。

取材:2016年11月

  • ※ドライブコースの情報はそれぞれの記事の取材時点のものです。